仕事人としてどこまで成長できるか。入社10年目は一つの節目になる。入社した ころから、この10年目を目安に考えて行動すれば、随分と違ってくるはずである。
逆に、10年もすれば、求められる課題というのもはっきりとしてくる。その課題 に応えられない人は、かなり厳しい。
しかし、何度も話しているように、仕事は自分の力だけでこなせるものではない。よきパートナーに恵まれ、信頼できる先輩の導きもあって、さらに個人の努力が実を結ぶ。
自分一人で何もかも抱え込むのではなく、もう少し、広く視野を広げて、キャリアについて考えてみたいものだ。
たとえば、仕事上のブレーンをもつというのもキャリアに結びつく。10年目のキャリアをもちながら、仕事を組める仲間がいないようでは、深刻である。利害関係を考えずにつきあえる仲間やいつも協力関係でいられるブレーンをつくりたいものである。
その出発点は、入社間もないころからの先輩や同期が人脈づくりの第一歩になる。たしかに、人の好き嫌いはあるものだが、どんな人とも広くつきあえる度量を身につけることも必要である。好き嫌いの激しい人は、ごく少数の仲間をがっちりとつかむこともできるが、大きなネットワークを張り巡らすことはできない。引退してからのことを考えることはないが、定年後、広い人脈をもっている人はいろいろなところから声がかかる。現役時代の入づき合いのたまものだが、ブレーンをいかに広くもつかというのは、生涯にわたって役立つものであることは忘れないでおこう。もちろん、現役時代にも 役に立つ。積極的に人に会って、話を聞き、仲間づくりを広げていこう。
転職した場合など、社外にも張り巡らした人脈が間違いなく生きてくる。社内固めが終われば、異業種の交流会にも広く顔を出し、自分独自のネットワークを広げることだ。何かあったときに、パッと頭に浮かぶ仲間が、いつも数人以上いること。これを30代までの目標にして頑張ってほしい。