入社10年は、リーダーになるための試練の始まりでもある。経営的な視点で物事 を考えることが求められるわけだ。これに関しても、若い時代からの訓練で随分と違って来る。まず、計数管理に強くなること。常に数字を意識し、利益に対する感覚を磨いておこう。経営に視点が伴わない仕事は、どれだけ成功し、華々しく目立つ事業であっても利益率という点で劣ってしまう。コッコッとではあっても着実に利益を稼ぐ。そんな仕事人としての側面をもち合わせる企業人になりたいものだ。
組織のトップは、いつも全体を眺め、判断を下していく。自分に与えられた仕事に関しても、同じ視点で考えてみることだ。自分が経営のトップならどのように判断するか。与えられた仕事で、シミュレーションしてみることを勧める。
こうした訓練は、やってみないことには成果が生まれない。考えてもみなかったことは、どんなに実績を積んでも体験できない。とにかく、考えてみること。その積み重ねがキャリアに結びつく。
手始めは、いかにすれば仕事が円滑に進むか。次に、どんなチームワークを構築すれば成果が得られるか。この仕事で得るべき利益の目標は何か。どうすれば、目標の 利益が得られるのか。効率はよいのか悪いのか。
組織の歯車に甘んじているだけでは決して生まれてこない発想である。仕事ができ るようになれば、次の段階に進む。会社に従属している意識を捨てて、物事にかかわらないと、結果はみえてこない。
ある意味、自分中心で仕事を回してみる。わがままでもかまわない。自分が遮二無二動いてて、いったい何になるのか。その限界を知るうえでも、積極的にトライしてみることだ。
パソコン情報を使えば、机の前で考えていても、ある程度の結果を予測できる。しかし、これは、机上の空論とさして変わらない。汗して銭を稼ぐとはよくいったもので、現場を踏まない者には、本当の果実は実らないのである。
言葉で、繰り返し説明してもわからないかもしれないが、実践に勝るものはない。自分を活かすためには動くこと。頭はもちろん、体を動かすこと。組織のトップは、考えているだけではつとまらない。常に現場をみて考える。それができないトップは、つまず おそらくかなりの確率で経営に蹟いている。
リーダーになるための訓練は、自分で考えて動くことから始まる。10年目の教訓として覚えておきたい。