よき組織人であることばかりに集中していると、組織の全体像を見失ってしまう可能性がある。気づいたときには、組織に飲み込まれているのでは意味がない。
そこで、10年先の組織はどのように変遷しているであろうか。そのとき、自分はどのようなポジションで仕事をしているのだろうか。シミュレーションを行なっておく必要がある。
少なくとも、日本的経営が大きく転換し、この先組織のあり方が問われている現状において、その見通しすら立たないようでは、自分の生き方など決められるはずがない。今後、経営のスピード化は避けられないが、流されないように基盤を確保する上でも、自分なりの見通しを立てておくようにしよう。
少なくとも、企業の責任体制がどのように変わっていくか。成果主義に象徴される競争主義が自分の所属する組織ではどれくらい浸透していくものなのか。チームワークが重視される組織なのか、個人の力を重視する組織なのか。その変化によって、自分の身の振り方も変わってくる。
おそらく、自分なりにゴールの設定を考えた上で、サラリーマン人生を歩んでいるはずだ。その目標となるゴールと、組織の目指すゴールが大きくかけ離れているのであれば、今後身の振り方を考える必要もあるだろう。
まだ、転職に踏み切るには早い段階かもしれないが、いずれ、自分はどちらの方向にダイスを振るつもりなのか。その心づもりをする上でも、組織の方向性、経営の行く末に関して冷静に分析しておく必要がある。
自分が所属している組織に、関心がもてないようでは先がみえている。ずっととどまる組織でないとしても、いま、所属している組織の行く先くらいは、この年齢になれば見通せなくてはならない。その力がないのなら、まだまだキャリアメーキングの力がついていないことになる。
先を見通すことができるようになれば、おそらく、その先の自分の姿をもみることが可能になる。何がみえるか、一度、じっくりと考えてみよう。少なくとも、こうした思考法は一度も習ったことはないだろう。だからこそ、試行錯誤で、組織の将来をみる力をつけてほしい。
計量的に数字による変遷をみる。人脈を分析し、組織の中心人物になる人たちを分析してみる。さまざまな角度から、自分の組織の姿を分析する。そこに、自分が存在しているかいないか。おぼろげながら見据えることができればそれでよい。