仕事ができれぱそれでよいと割り切れないのが日本の社会である。いつも人間性の評価がつきまとう。感性が豊かな人間であることが、仕事のできる人間ということになるのだろうか。
しかし、感性を身につけるというのは最も難しいことかもしれない。どれくらい訓練すれば身につくというものではない。だから、具体的な習得の技術を指南することも難しい。
ありきたりかもしれないが、
①自然と親しむ
②感動を味わう
③ふだんと違った世界に自分をおいてみる
④快適、不快の印象を明確に自覚する
⑤歴史を学ぶ
⑥趣味をもつ
⑦芸術を鑑賞する
⑧自分をみつめ直す
こうした事柄を一つずつ意識しながらこなすのも何となく気が引ける。感性とは、日常生活の中で積み重ねていく行為でしか育たない。少なくとも、行動に目的や意味合いを感じ、具体的な行動の指針をもつ。そんな繰り返しでしか身につかないことだろう。
ただ、もっとおおらかな気持で取り組むことが必要である。仕事に一区切りおいたところで、自分にご褒美をあげるつもりで旅に出る。おいしいものを食べる。おいしいお酒を飲む。大好きなスポーツ観戦に出かける。大切なことは、自分に投資することだ。お金を貯めることばかり考えないで、自己投資しよう。必ず、感性という貯蓄が殖えるはずだ。
いいものをみて、おいしいものを食べる。ときには高価な服を買うのもいい。一流のものに触れることが感性を刺激してくれる。毎日のように同じ組織の人たちの顔を眺め机に向かっていても感性は育たない。
旅に出れば、話題が一つ増える。何を感じ、何が語れるか。感性は、育てようと思って育てられるものではない。日々の暮らしの中での気づきの延長線なのかもしれない。自分にご褒美をあげたあとは、市井の小さな出来事にも目を配る。世の中に関心をもち続けることが、感性を高めるために最も必要なことかもしれない。
他人から教わることができないもの。それが感性を高める作業である。