ビジネスの基本やキャリアメークの基本を習得できた人が、さらにステップアップするためには、その一歩先の能力を身につける必要がある。
入社三年から五年が過ぎれば、仕事もそれなりにこなせるようになってくる頃だ。ここで、安心感に浸っていると、一気においていかれてしまう。伸びる人材は、ここからの進歩が早い。あるときは部下として能力を発揮し、あるときは上司として、リーダーとして役割をこなす。この狭間に立って、いかに自分らしさを発揮するかが、できる人材であるためのコツといえるだろう。
そこで、考えてほしいのは、自分もみられているのと同様、あなた自身がいかに人をみる力があるかということである。「人をみる目」を養うことを考えてほしい。
そのために必要な「視点」は、
①何を大切に考える人か
②人間関係はどのように構築する人なのか
③相手はどのポストを望んでいるか、リーダーであるのかナンバーッーなのか
④積極的な人か、消極的な人か
⑤任せるといわれた場合にどう反応する人か
⑥どれくらいの規模の仕事なら任せられるか、何人を束ねることができるか
この視点を組み合わせて人を観察してみよう。いろいろと組み合わせている間に、他人をみる力がついてくる。みかけで、人を判断することは愚かなことだとわかっていても、つい肩書きなどで判断してしまうことが多い。これからの組織人は、個人と個人の戦いである。他人を十分に観察する力が備われば、一回り大きくなれる。
先ほどの六つの項目を自分に置き換えて、検証してみることだ。自分は、どこまでできるかの判断基準を明確にし、他人を観察する。いつもこの訓練を繰り返しておくことが、将来的にリーダーになるための条件となる。
とくに、自分の問題解決能力やリーダーシップ能力を知っておけば、他人と比較ができる。自分よりも優れた人材ならばどのように使うのか。こうした視点は、日頃の訓練で身につけるしかない。組織を束ねていくとき、チームでプロジェクトを推進するとき、他人の能力をいかに引き出すことができるか。これこそが、自分を売り出していく力になる。
声が大きいだけではリーダーはつとまらない。頭で考えているだけでも同じである。何ができるか。そして、他人に何をやらせることができるか。その力量が問われるようになる。