自己啓発の考え方は、自分らしくあるために欠かせないシールである。しかも、セミナーなどに参加して身につけるものという感覚もなくなってきた。自己啓発を大げさに考えるのではなく、自分自身がステップアップしていく流れの中に上手に組み込むことが求められている。
キャリア教育というものがあれば、おそらくその中に自己啓発の項目が存在するのだろうが、これからは、すべて自分でこなしていく心構えが必要である。会社の人事部の役割が、ここにきて大きく変換しようとしていることにも注目してみよう。
あなたの会社の人事部がどのような役割を果たしているかが問題であるが、最近の傾向として、人事が表に出てくる組織から、人事の役割を大きく見直す傾向のほうが強くなっている。
つまり、人事部が社内人事を司るのではなく、個人にゆだねられる傾向が強くなっているということだ。違う部署で仕事がしたい場合、自分でその部署に希望を出し、認められれば、人事に関係なく部署を異動することができる。社内FA制度と呼ばれ方式で、自分のやりたい仕事は自分の力でつかみ取る以外に方法がないという仕組人事部に依存するのではなく、自分の力で仕事を得ていく。
これからは、こうしたシステムを採用する組織のほうが多くなっていくだろう。組織の中で、自分はどのように役立つ人間なのか。あるいは、自分はどのような仕事をしながらキャリアを高めていきたいのか。その目的意識がしっかりと備わっていない限り、組織の中で、自分自身を活かすことができない。
自己啓発プログラムを自分の力で考えて構築することが、新しい組織の中で生き抜く方法になる。すでに、こうしたシステムを導入している大手企業はかなりの数に上っている。ある日突然、仲間が違う部署にFAしていってしまうのだから、驚きである。気がついたら、自分だけが取り残されているということも十分に考えられる。
数年先のゴールの設定とあわせて、いま何がやりたいのか。そのためにはどんな能力が必要なのか。能力アップに対して、自分の力で考えるべきだ。人事の指導があって初めて気づくようでは遅い。時代の流れは、自己責任能力社会へと確実に変化している。仕事が軌道に乗ってきた頃だと思うが、もう一度自分自身の方向性を構築し直すことが必要である。