まつとうなキャリア教育のないまま社会に出ることは不幸である。教育の現場で教わることは、世の中の出来事とかけ離れたものでしかない。
米国のような実務教育もなければ、ヨーロッパ各国で実践されている倫理や哲学の 思想を学ぶ機会もほとんど皆無である。自国の歴史に関して、百科事典のような歴史 教科書を手に通学するヨーロッパ諸国の子どもたちをみるにつけ、日本の教育の問題点ばかりかが浮き彫りになってくる。
しかし、優秀なビジネスマンに育つためには実務や倫理、哲学といった教育が不可欠である。お金を稼ぐといった概念すら、教育の概念から排除されているのだから、 キャリア教育をまったく受けていないことになる。世の中に対する具体的なイメージをいっさい抱かないままに社会に出てくるのた?から、キャリアメーキングなどできるはずもないのである。
主体的に世の中と関わろうとする意欲をそか?れてしまった若いサラリーマンに対して、実に無謀な提案を続けてきたような気もする。これを機に、一気に自らの社会 に通用する概念の構築に努力してほしいと思う。
二十一世紀は、組織のみならず社会全体が大きく変わろうとするときでもある。I T(情報技術)化、グローバル化、市場化の流れは、もはやとどまることはないだろう。そして、個人に求められる能力として、英語とコンピュータは必要不可欠な基礎 知識となる。これらの能力は完壁であればあるほどよく、できないままですまされる問題ではない。
さらに、ビジネスの基本をきちんと習得していない者は、存在そのものを認められなくなる。入社二年目までに、こうした基本は是が非でも自分のものにしてほしい。 さらに、自分で考える力まて?身につけなけれは?ならないのた?から、ほんとうに大変である。毎日、少しずつ努力を積み重ねる以外に、キャリアの構築はない。これまでにも繰り返し指摘してきたが、とにかく行動を開始しよう。目の前の仕事で、自分に磨 きをかけることは十分に可能である。
よく売れる店とそうでない店の違いは何か。一言でいうなら、「価値の差異」であ る。できる人間とそうでない人間の違いも しかり。他人と違う価値を、自分の中に目 覚めさせる。それ以外に方法はない。人よ りも一歩先に出る気概をもって、努力を続 けてほしい。社会とつなか?る生活。それを 拒否している間は、何も身につかない。