若い社員を批判的な目でみている上司はかなりの数に上る。ただ、口に出して批判できないのは、そのことが彼らに知れると上司としての評価が下がることを危倶して口に出さないだけだ。心の中では、若い世代に対する絶望感は意外に広がっている。
しかし、若い世代の立場で考えれば、上司がどのように自分を評価しようと、それほど気にとめない人たちが増えてきた。結果的に、世代間の断絶が広がっていることになるのかもしれない。ただ、いえることは、その断絶の中で損をするのは若い世代ではないだろうか。上司からの小言は減ったとしても、将来的に考えれば、若いうちに叩かれた経験のない者は、土壇場での踏ん張りが利かない。
経験値が、何ものにも優先するのがビジネスの世界だ。組織が組織としての機能を果たさなくなっている中で、自分なりにキャリアを高める作業は大変で、孤独との戦いでもある。
入社1~2二年目の若手にアドバイスできるとすれば、いまこそ組織の全貌を理解することであるc会社は、身体が成長するのと同じく常に成長を続けている。その内容はともかくとして、創業時からどのような変遷を経て現在にいたっているのか。入社して間もない時期に十分理解しておこう。
さらに、身体を流れる血液と同様、会社にも資金の流れが存在する。決算書を読み込む力を身につけて、自分が所属する会社の中身を丸裸にして理解しよう。
さらに、組織の各部署の役割を十分に知ること。企画部門の役割、営業部門の戦略、総務部門の関わり方もだ。組織が、どのような構成能力をもって機能しているのかを完全に知り尽くしてこそ、初めて自分の存在価値、あるいは、成長の方向性を知ることができる。
一昔前であれば、上司から頂戴する小言の中で、少しずつ組織の人間関係などをつかむことができた。しかし、飲み会一つ開くにも大変な時代になって、自分がどのような会社で働いているのか、わからないまま数年を過ごしてしまう人も少なくない。
自身のキャリアメーキングを考えるならば、その出発点は、所属する組織を解剖すること。少なくとも入社して一年以内に、会社のことはすべて理解できるくらいになれば問題はない。社員の自主性を求めるのが、これからの組織のあるべき姿といわれているが、その中身を知らないうちは、自主性も発揮できない。この存在を組織の中でいかに考えていくのか。その第一歩が、組織を学ぶことである。