私は過去、大学院や大学で経営革新や日本企業文化論なとを教えていました。
現在、コンサルティングの傍ら、戦略の策定やその実行などのセミナー研修を手掛けています。
だが、私の今後の天職は、「社長および社長に準ずる経営層へのコーチング」、ならびに「二世経営者の育成」と考えるようになりました。
そこに至る背景には、次に述べるような三つの重層的な体験がありました。
・アメリカでのAMPプログラム体聡(50代)
・カネボウでの企業の栄枯盛衰体験(20代~50代)
・日本での外資系法人の経営体験(50代~60代)
こうした体験を活かし、コーチではなく、私はまずコンサルタントとしてスタートしました。
そのときに驚いたことが二つあります。
一つは、会社のなかにいると見えないものが、外からだとよく見えることです。それが面白くてどんどん改善を提案しました。
しかし、やがて二つ目の驚きに直面します。提案がなかなか実行されないことに気付いたのです。
かつて在籍したカネボウでも嫌というほど体験しましたが、サラリーマンはエクスキューズ(言い訳)が多く、戦略を策定してもなかなか実行しないのです。
ただしないのではなく、できない場合も少なくありません。戦陥を実行するか否かはトップ次第だからです。
「戦略の提案も重要だかそれよりもトップおよびトップ層の変革が先ではないか」と気付きました。
そして、「社長がダメなら会社は衰退していく」と痛感しました。カネボウと同じような会社がこんなにも存在するのかと驚きもしました。
そして、経営に与える影響の小さい「コンサルタント」ではなく、トップに直接働きかける「コーチング」を志すようになったのです。
なお、カネボウは2004年3月に、3.553億の連結債務超過で実質倒産しました。
粉飾決算も指摘されました。106年続いた名門企業も、倒産するときは一瞬です。会社はトップ次第でいかようにも変わります。会社が輝かしく成長するのも、惨惜たる敗北企業になるのも、トップの力量一つです。一人のトップが多くの社員の運命を握っています。
トップの判断一つで、多くの社員が路頭に迷うことになるのです。
リーダーの責任は本当に重いと感じます。