「人生は一度、自分のために生きよう」
こんな価値観をもつ人たちが急速に増えてくるのではないだろうか。最近の中高年者の動向をみていると、その傾向が顕著になりつつあることがわかる。
定年後、年金を原資に海外暮らしにチャレンジする人たちが増えてきた。オーストラリア、ハワイ、カナダ、アジア諸国をフィールドに、長期間現地にとどまって暮らす。日本に比べれば物価も安く、気候も温暖で暮らしやすい。
日本の老後は、年金や退職金を食いつぶすだけで、豊かに暮らすことは難しい状況だ。思い切って海外に飛び出すことで、新しい人生を切り開いていこう。
勇気ある行動であることを評価したいのだが、こうした現象が、日本の不景気を背景にして生まれていることを思うと、落胆を隠すことができない。
しかし、こうした流れは止まらないだろう。景気回復の遅れが個人消費の伸び率の鈍化傾向によるものだと分析されているが、将来に対する不安を、いまの日本から払拭することは難しい。
自分の生き残りをアレコレ考えるくらいなら、いっそのこと思い切って自分たちの夢を追いかける自由な生き方を模索する。人生は一度きりと考えれば何でもできると開き直る人たちが出てきてもおかしくはない。
これから人生の荒波を乗り切っていこうとする若い人たちに、こんな話をしても仕方のないことかもしれないが、いい大学を出て、いい会社に就職すればそれで人生の勝利者になれる時代は終わった。
「何もないけれど夢はある」という思いで生きていけるシニア層のほうが、強いかもしれない。「モノはあっても夢がない」世界に、どっぷりと浸かってしまった若者たちは、この先いったいどんな人生を歩むことになるのだろう。
哲学的な議論ばかりではつまらない。とにかく、何かを始めないと、取り残されてしまう。社会の価値観が大きく変わろうとしている時代に、こうして遭遇したのも何かの縁だ。早い段階から自分の路線を決めないで、チャレンジしてほしい。
つまり、キャリアメーキングヘの挑戦である。やる気だけでは渡っていけない世の中、そのうえ、資格があればそれだけで生きていけるわけでもない。外国語を話すことができれば、どこでも就職できる時代でもなくなった。しかし、できないよりはできたほうが、何かと得をする。キャリアを身につけた上で、どのような選択をするか。オリジナルの選択肢を身につける強い意志をもとう。
注:この記事は2002年に書かれたもので景気状況が現在と合わない箇所がありますが、内容は現在もそのまま通じるものですので、あえて修正をしておりません。